要点
乾式クラッチだからといって変速機全体が無油とは限らず、湿式クラッチだからといってDCTフルードが万能になるわけでもありません。変速機コードを特定し、整備対象の各油回路とOEMフルード番号を確認します。湿式クラッチは油中で作動し、摩擦特性と熱管理が重要です。乾式クラッチの摩擦面は油に浸かりませんが、ギアや軸受、場合によっては独立したメカトロニクスには指定油が必要です。
フルードが入る場所を先に特定
「DSG用オイルを1L」という問い合わせだけでは発注できません。DSG、S-tronic、Powershift、DCTはシステム名であり、単一のフルード規格ではありません。同じ市場で湿式・乾式や世代の異なる制御ユニットが混在します。車種名やクラッチ方式だけで選ぶと、正しく見える容器を誤った回路に投入するおそれがあります。
輸入業者の適合ミスは通販の適合表、販売店カタログ、外箱、翻訳ページにも広がります。本稿は発注前に根拠のある適合表を作るためのものです。補充量と油面調整は最新のOEM整備情報に従ってください。
まずクラッチが油中にあるか、ギアと軸受をどの油槽が潤滑するか、油圧・メカトロニクスが共通回路か独立回路かを確認します。VW公式資料は、DSG系列に低トルク向け乾式と高トルク向け湿式があると説明しています。構造の違いだけで全車共通の油種は決まりません。[1]
「乾式」はクラッチ摩擦面の状態を示します。Schaefflerが扱うVW/Audiの0AM 7速乾式DCTには、ギアボックスとメカトロニクスの二つの独立した油系統があります。同資料は取り外し時のメカトロニクス油漏れにも注意しています。これは特定機種の例で、全乾式DCTへの一般化はできません。[2]
湿式DCTと乾式DCTの違い
| 確認項目 | 湿式DCT | 乾式DCT | 輸入業者の確認 |
|---|---|---|---|
| クラッチ | 摩擦板が油中で作動 | 摩擦面は乾式で作動 | 変速機コードと構造 |
| 油の役割 | クラッチ摩擦・放熱・ギア・油圧を担う場合 | ギア油が必要。制御系統は設計次第 | 各回路のOEM番号 |
| 誤発注 | ATFや別DCT油を同等とみなす | 油不要、または一種類で全回路を満たすとみなす | 製品ごとの適合根拠 |
| 整備資料 | フィルター・温度・油面手順 | 回路別の整備手順 | 最新OEM手順と実補充量 |
湿式DCTフルードは歯車保護だけを担うわけではありません。油がクラッチ材に接するため、摩擦応答と耐久性は締結とジャダーに関係します。SAEの論文は湿式クラッチの摩擦、耐ジャダー性、熱安定性、耐荷重性を開発目標として挙げています。[3] これは特定製品のOEM承認を意味しません。粘度が似ていても一般的なギア油やATFへ置き換える根拠にはならないということです。
乾式DCTでもギア、軸受、制御系は別途確認します。Ford Focusの取扱説明書はDPS6搭載仕様にWSS-M2C200-D2のMotorcraft Dual Clutch Transmission Fluidを示し、記載容量は概算のドライフィル量で、交換時の量とは異なり得ると説明しています。[4]「乾式DCT」だけの適合表では仕様と整備量の差が抜け落ちます。

一つの変速機に複数の油回路がある場合
| 回路・記録 | 取得する情報 | 理由 |
|---|---|---|
| 変速機の識別 | 車種、年式、エンジン、変速機コード | 同じ商標でも設計が異なる |
| クラッチ・ギア油 | OEMフルード番号、回路名、整備指示 | 湿式摩擦とギア保護は別の確認事項 |
| メカトロニクス | 独立の有無、油種、整備可否 | 別油種や制限付き整備の場合がある |
| カタログ表記 | 改訂日付きの製品別適合表 | 「全DSG対応」の拡散を防ぐ |
| 出荷書類 | TDS、SDS、ラベル、SKU、ロット | 承認内容と実物を一致させる |
別の油槽への推奨油を流用しないでください。Schaefflerの0AM例ではギアボックスとメカトロニクスが独立し、後者は通常の補充や油面確認ができません。[2] 他のDCTでは油圧系がギアボックスと共通の場合もあります。車のブランドではなく実際の変速機単位で適合行を作ります。
「DCT整備キット」の要望には、どの回路を整備するか、フィルターやガスケットを含むか、OEMがその作業を認めるかを確認します。ZF Aftermarketは単一の万能DCT油ではなく複数の専用フルードを掲載しています。[5] 共通の交換周期や容量を広告で断定しないでください。
DCTフルードの適合表示を確認する方法
VINに紐づく整備情報、取扱説明書、修理書、OEM部品・油脂カタログから変速機コード、フルード番号、代替番号を記録します。候補製品の現行TDS、適合表、ラベルを照合します。「使用推奨」「性能要件を満たす」「正式承認・ライセンス」は別の表現です。製品固有の根拠がある文言だけを使用します。
資料が「DSG互換」としか示さない場合は、変速機系列と回路が特定されるまで適合行を保留します。メカトロニクスに別油が指定される場合、見積と表示にも明記します。旧適合表を新市場の印刷物へ転用する前に、出典と版を再確認します。
KATMOTO DCT FLUIDの適用範囲
KATMOTO DCT FLUIDは、適合が確認された一部の湿式・乾式デュアルクラッチ変速機向けに案内されています。製品ページはOEMフルード番号と整備書に従うよう求めており、AT、CVT、e-CVT、MT用油との互換を意味しません。[6] 市場で扱う変速機コードについて、印刷前に現行の適合資料を請求してください。
写真は4Lと1Lの金属缶です。容量は技術的な適合を確認した後の物流判断です。小売SKU、入数、GTIN、現地語ラベル、ロット表示を合意します。4L缶は全DCTの補充量が4Lであることを示さず、1L缶も1Lの整備量を示しません。
DCT FLUIDを見る · ATF/CVT/DCT製品群ガイド

輸入業者の7段階選定手順
- 市場・車種・年式・変速機コードで需要を分け、湿式/乾式は補助項目として記録する。
- OEM資料からクラッチ、ギアボックス、メカトロニクスの油回路を整理する。
- 各回路の正確なフルード番号、代替番号、整備資料の日付を記録する。
- 供給者の現行製品別適合表とTDSを照合する。
- 適合表現、除外条件、ラベル言語、正式承認の根拠を審査する。
- 1L/4LのSKU、GTIN、外箱、パレット、SDS、ロット追跡を確定する。
- 日付付き適合表を営業に配布し、追加機種や代替前に再審査する。
返品につながる誤り
- 全てのデュアルクラッチをDSGと呼び、一種類の油を勧める。
- 乾式を無油と誤解し、制御系とギアの油を同一視する。
- 粘度の近いATF、CVT油、MT油を代用する。
- メーカー推奨をOEMの正式承認と表現する。
- ドライフィル量を整備時の補充量とする。
- 条件付きの適合表現を翻訳で無条件に変える。
B2B見積依頼チェックリスト
- 仕向国と販売チャネル
- 車種年式・変速機コード一覧
- 湿式/乾式構造
- 独立回路と各OEM油番号
- 代替番号と整備資料の日付
- 製品別適合表、TDS、SDS
- 表示文言と承認根拠
- 1L/4LのSKU、GTIN、箱・パレット
- 現地語ラベルとロット表示
- 技術窓口と適合変更通知
よくあるご質問
乾式DCTにも油は必要ですか?
必要です。ギアと軸受には指定油が必要で、設計によりメカトロニクスが別回路です。
同じDCTフルードを湿式と乾式に使えますか?
製品固有の適合表が該当変速機と回路を明記する場合に限ります。
DCTフルードはATFと同じですか?
一般的な同等性はありません。OEM番号と製品別の対応記録を確認します。
ギア油をメカトロニクスへ入れてよいですか?
推測で入れないでください。0AMなどは独立回路で整備方法も限定されます。
「DSG互換」は何を証明しますか?
変速機コード、油番号、回路がなければ具体的適合の根拠にはなりません。
4L缶は4Lの交換量ですか?
違います。容器容量と整備時の補充量は別です。
見積依頼で必要な資料は?
対象変速機を示し、TDS、SDS、適合・除外表、ラベル、包装、ロット情報を請求します。
出典・参考資料
- Volkswagen Newsroom — Dual-clutch gearbox (DSG).
- Schaeffler Automotive Aftermarket — LuK Service Info 0028: 0AM dry dual clutch gearbox, 2011.
- SAE International — Lubricant Technology for Dual Clutch Transmissions, 2006.
- Ford Motor Company — 2016 Focus Owner’s Manual, capacities and specifications.
- ZF Aftermarket — Oils and Oil Change Kits for Passenger Cars.
- KATMOTO — DCT FLUID product information.
変速機別の需要からDCT製品群を組み立てる
対象市場の変速機コード、OEM油番号、油回路、希望包装、ラベル要件をKATMOTOにお送りください。DCT FLUIDの具体的な適用を確認します。