要点
輸入するEVクーラントは、単に「低導電率」や凍結温度だけで選べません。対象車両の冷却回路、OEM指定、濃縮・希釈の状態、導電率の試験方法と温度、ロット別の証拠資料を一式で照合します。ASTM D8566は水系低導電率グリコール冷却液を扱いますが、直接浸漬用の絶縁液を対象にしません。[1]
最初に冷却回路と適用範囲を確定する
「EV用」という表示だけでは使用箇所が決まりません。バッテリー、インバーター、電動駆動ユニット、車室空調など、車両によって回路と要求液が異なります。まず車種・年式・回路・整備資料の指定液を受け取り、未知の適合を推測しないでください。
ASTM D8566-24の対象は水系低導電率グリコール冷却液です。直接浸漬冷却液や燃料電池スタック用とは区別されます。一般的な軽量車用エンジン冷却液のASTM D3306とも、適用範囲が同じではありません。[1] [4]
| 候補 | 主な用途 | 調達時の確認 |
|---|---|---|
| 一般エンジン冷却液 | 内燃機関の冷却系 | 色やグリコール基材だけでEV回路へ転用しない |
| 水系低導電率EV冷却液 | 指定された電動車の間接冷却回路 | 車両指定と導電率、腐食・材料適合性の証拠を照合 |
| 直接浸漬用絶縁液 | 部品を液体に浸す設計 | 水系低導電率液とは別カテゴリーとして評価 |
| 燃料電池スタック用液 | 特定の燃料電池回路 | 専用のOEM要求を確認 |
規格名とOEM承認を混同しない
規格を引用する場合は、番号、版、適用範囲、試験項目を分けて確認します。中国のGB 29743.2-2025は2025年10月1日施行の電動車冷却液規格です。ただし、規格への適合表明と車両メーカーの正式承認は別物です。[3]
見積書に「meets」または「suitable for use」と書かれていても、正式なOEM承認番号があるとは限りません。承認を必要とする案件では、対象品名・粘度またはグレード・有効期間・承認者を示す一次資料を請求してください。
導電率の数値をどう比較するか
導電率は温度、測定方法、サンプルの状態によって変わります。ASTM D8634-25は冷却液の導電率試験方法で、20~30°Cの試験条件を定めています。異なる温度の数値をそのまま並べるべきではありません。[2]
サプライヤーには試験方法、温度、単位、サンプリング時点、測定器の校正、典型値と出荷ロット実測値の区別を質問します。必要なら受入検査と保管後の再測定条件も契約に記載します。
低い数値だけを追うと、凍結防止、腐食保護、材料適合性など他の要求が抜けます。受入限度は車両仕様と採用する試験方法に基づいて決めてください。
KATMOTO EV-LC 100で確認できること
KATMOTOの公開製品ページではEV-LC 100を即用型のエチレングリコール系OAT冷却液とし、−35°C/−50°Cグレード、200 Lドラムと1000 L容器を案内しています。25°Cでの導電率60~68 μS/cmは典型値として記載されています。注文前に最新TDS、ロットCOA、ラベルおよび市場別SDSで照合してください。[5]
製品ページの規格適合表明だけで、あらゆる車種への使用やOEM承認を意味するわけではありません。用途判断が必要な場合は、車両指定液と製品資料を添えて技術確認を依頼します。

7段階の仕入れ審査
- 用途を定義する:車種、年式、対象回路、原液品番、OEM整備資料を入手する。
- 供給形態を決める:即用型か濃縮型か、凍結温度、輸送・保管条件を明記する。
- 規格資料を照合する:各規格の版と対象範囲、試験報告書とOEM承認の有無を区別する。
- 導電率を再現可能にする:方法、温度、単位、サンプル状態、許容範囲を合意する。
- 腐食・材料適合性を確認する:対象金属、樹脂、シール材の証拠と使用上の制限を求める。
- 包装と表示を確認する:ドラム・IBCの現物写真、言語、ロット表示、保管期限を確認する。
- 試験注文を評価する:入庫検査、COAとの一致、現地登録と再注文時の変更管理を確認する。
サプライヤーに求める書類
| 資料 | 何を確認するか | 不足時の対応 |
|---|---|---|
| 最新版TDS・SDS | 配合区分、推奨用途、安全・輸送情報 | 版と対象市場を指定して再請求 |
| 試験報告・ロットCOA | 方法、温度、限度、実測ロット番号 | 典型値のみなら受入条件を未確定とする |
| 規格・OEM証拠 | 適合表明か正式承認か | 承認番号と対象品の一次資料を求める |
| 容器・ラベル案 | 容量、表示言語、危険表示、ロット追跡 | 仕向地の表示審査を行う |
| 変更管理・サンプル | 配合・包装変更通知と試験用サンプル | 承認済み仕様と差異を記録 |
輸入時に起こりやすい誤解
- 「EV用」の一語で全回路に使えると考える。
- グリコールの色や凍結温度が同じなら交換可能と判断する。
- 温度や測定法の異なる導電率を直接比較する。
- 典型値を出荷ロットの保証値として扱う。
- 規格適合表明をOEM正式承認と言い換える。
- 即用型を許可なく水で希釈し、別の冷却液と混ぜる。
- ドラムの参考画像を最終製品ラベルの証拠とみなす。
見積依頼前のチェックリスト
RFQには対象車両・回路、仕向国、凍結温度、OEM指定、導電率の測定法と受入限度、要求するTDS/SDS/COA/試験報告、容器容量、ラベル言語、初回サンプル数と予定数量を記載します。MOQや納期は確定値を推測せず、サプライヤーの正式見積で確認してください。
よくある質問
EV用クーラントはすべて低導電率ですか?
いいえ。回路設計と車両指定によって要求が違います。「EV用」という表示だけで導電率仕様を確定できません。
通常のエンジン冷却液をバッテリー回路に使えますか?
色やグリコール基材では判断できません。車両指定と用途の証拠を優先し、ASTM D3306とD8566の対象範囲を混同しないでください。[1] [4]
低導電率液は浸漬用絶縁液ですか?
違います。ASTM D8566は直接浸漬用途を対象にしていません。[1]
2つの導電率の値を比較できますか?
方法、温度、単位、サンプル状態、典型値かロット実測値かをそろえてから比較します。[2]
EV-LC 100を現地で希釈できますか?
公開製品情報では即用型です。車両メーカーと製品資料が明示的に許可しない限り、希釈や混合をしないでください。[5]
GB 29743.2-2025適合はOEM承認を意味しますか?
いいえ。規格への適合表明、試験証拠、車両メーカーの正式承認は別々に確認します。[3]
大容量包装を見積もる前に何が必要ですか?
車両と回路、仕向地、グレード、測定・受入条件、書類、容器・ラベル案、ロット追跡要求を共有してください。
製品相談と見積依頼
KATMOTO EV-LC 100製品ページで公開仕様を確認し、お問い合わせから車種・回路・市場・必要書類を送ってください。地域の販売計画には販売代理店のご案内、通常のエンジン冷却液の濃縮型・即用型の比較には関連ガイドをご覧ください。
出典・参考資料
- ASTM International — ASTM D8566-24 (2024).
- ASTM International — ASTM D8634-25 (2025).
- SAMR / SAC — GB 29743.2-2025 (2025).
- ASTM International — ASTM D3306-21 (2021).
- KATMOTO — EV-LC 100 (2026).