要点
ATF、CVTフルード、DCTフルードは、同じ製品の品質グレードではありません。トランスミッションの構造、摩擦材、油圧制御に合わせて設計された別の油種です。輸入業者は、確認済みの車両用途と指定規格を基準に商品構成を作り、その範囲内でマルチビークル品によるSKU削減を検討すべきです。粘度や色が似ているという理由だけで、CVTやDCTに通常のATFを代用してはいけません。[1] [2] [3]
目次
「オートマチック」という名称ではなく、構造から確認する
自動変速機と呼ばれる車両でも、トルクコンバーター式の有段AT、ベルトまたはチェーン式CVT、湿式DCT、乾式DCT、ハイブリッドe-CVT、専用DHTなど構造はさまざまです。同じ車格や同じブランドでも、必要な油種が根本的に違う場合があります。
有段ATでは、フルードが油圧媒体、潤滑、冷却、クラッチ摩擦制御を担います。CVTでは、プーリーとベルト/チェーンの接触・摩擦特性やシャダー制御も重要です。DCTではギヤ、シンクロ、油圧制御、湿式クラッチを同じ油が受け持つことがあり、乾式DCTではクラッチとギヤ油路が分かれる場合もあります。販売カタログの名称だけでは適合を判断できません。
公式資料もこの境界を明確にしています。Fordは指定規格と粘度の使用を求め、引用した用途ではMERCON LVのみを指定しています。HondaのCVT技術解説では、油圧制御プーリーと金属ベルトが示されており、有段ATとは異なる構造です。[1] [2]
ATF・CVT・DCTフルードの業務向け比較
| 確認項目 | ATF | CVTフルード | DCTフルード |
|---|---|---|---|
| 主な機構 | トルクコンバーター式有段AT | ベルト/チェーン式無段変速機 | 湿式または指定乾式のデュアルクラッチ |
| 重要な選定情報 | OEMフルード番号、変速機型式、年式 | CVT型式、ベルト/チェーン、OEM指定 | DCT型式、湿式/乾式、メカトロニクス要件 |
| 主な機能 | 油圧応答、クラッチ摩擦、耐摩耗・酸化安定性 | プーリー摩擦、耐シャダー、せん断安定性 | クラッチ摩擦、ギヤ/シンクロ保護、油圧応答 |
| よくあるミス | 低粘度ATFはすべて互換と考える | 色が同じため通常ATFを使う | 油種番号を確認せずATFやMT油を使う |
| 安全な判断根拠 | 車両資料・適合表・製品資料 | 対象CVTの明確な確認 | 対象DCTの明確な確認 |
ZF TE-ML 11は、乗用車用MT、DCT、ATを同じ資料体系に収載しながら、変速機と潤滑剤クラスを分け、用途別に承認商品を掲載しています。広い規格名称が万能承認を意味しない好例です。[3] [4]
推奨前に集める5つの車両情報
- VINまたは完全な車両情報:ブランド、モデル、年式、エンジン、市場仕様。
- 変速機コード/系列:段数だけでは不十分です。
- 指定規格・部品番号:取扱説明書、整備情報、信頼できる適合データから確認します。
- 作業手順:ドレン量、総容量、油温によるレベル調整、フィルターや専用工具の要否。
- 使用条件:気候、牽引、タクシー/フリート、工場設備、交換間隔。
B2B販売では、この情報をSKUごとの適合表に記録します。未掲載の車両には推測で代替品を出さず、「適合未確認」と回答して技術確認へ回す運用が重要です。
ATFの商品構成:広いカバー範囲にも境界がある
実務的なATFレンジは通常1品では足りません。旧型4AT/5ATではDEXRON III、DEXRON II、MERCONタイプが使われる一方、新しい変速機ではDEXRON VI、Toyota WS、Honda DW-1、Nissan Matic S、Hyundai/Kia SP-IVなどの低粘度タイプ、さらに限定的なOEM専用油が必要です。
KATMOTO ATF MULTIは、適合が確認されたアジア、米国、欧州車向けの低粘度マルチビークルATFです。在庫圧縮には役立ちますが、「マルチビークル」は「すべてのAT」を意味しません。車両メーカーが明示しない限り、CVT、DCT、e-CVT、DHTには使用しません。[5]
KATMOTO ATF M9GはMB 236.17タイプの9G-Tronic/NAG3向けです。旧Mercedes-Benz規格や一般的なDEXRON/MERCON用途は対象外です。粘度だけで商品をまとめられない理由がここにあります。[6]
CVTフルード:通常CVTとハイブリッドe-CVTを混同しない

通常CVTでは、プーリーとベルト/チェーンの摩擦、クランプ力、変速比制御に合った専用フルードが必要です。色や粘度が近くても、一般ATFの代用はシャダー、滑り、摩耗、走行不良の原因になり得ます。
KATMOTO CVT FLUIDは、適合確認済みのToyota CVT FE/TCタイプ、Honda HCF-2タイプ、Nissan NS-2/NS-3タイプなどを対象とします。有段AT、DCT、MT、ハイブリッドe-CVT、DHTには、個別許可がない限り使用しません。[7]
多くのハイブリッドe-CVTは、ベルト式ではなくモーター、ギヤ、動力分割機構を使います。名称にCVTが含まれるだけでは、フルードの互換性を示しません。
DCTフルード:湿式/乾式と指定番号を確認する

湿式DCTではクラッチが油中にあるため、摩擦耐久性と熱管理が重要です。乾式DCTでもギヤ部やメカトロニクスに専用品、または複数のサービス油が必要な場合があります。DSG、S-tronic、Powershiftなどの名称だけで一括適合を約束してはいけません。
KATMOTO DCT FLUIDは、適合が確認されたDCT向けです。OEMフルード番号と整備マニュアルを優先し、指定がないAT、CVT、e-CVT、MTには使用しません。[8]
輸入業者・販売代理店の初期在庫モデル
| 商品ポジション | 商業上の役割 | 在庫前の確認 | 販売管理 |
|---|---|---|---|
| 旧世代ATF | 旧型4AT/5ATと許可された油圧用途 | 保有台数と旧規格需要 | 新型低粘度AT専用車には提案しない |
| 低粘度マルチATF | 量の多い現代有段AT | 詳細適合表と除外項目 | 未掲載型式は技術確認へ |
| OEM特化ATF | 特定9速など狭い用途 | 正確な油種番号と型式 | 棚札・適合表を分ける |
| CVTフルード | 指定ベルト/チェーンCVT | CVT系列と指定油 | e-CVT・ATFと分離 |
| DCTフルード | 指定デュアルクラッチ | 湿式/乾式、OEM番号、作業手順 | ブランド名称で一般化しない |
最初から最大の相互参照表を目指すより、現地で実際に入庫する変速機から始めます。3~6か月、適合できなかった問い合わせを記録すれば、次に追加すべきOEM専用ATF、別系統CVT油、ハイブリッド油が見えてきます。
発注前に確認する資料とラベル表示
見積対象の配合・包装に対応する最新版TDSとSDSを求めます。TDSでは製品分類、主要物性、用途、除外項目を確認します。SDSは輸送、保管、安全、緊急対応の資料であり、適合証明ではありません。
ラベルにOEM商標、承認番号、「approved」などを表示する場合は、有効な根拠を受け取り、公開承認リストがあれば照合します。「suitable for use」や「meets performance requirements」と、OEMの公式承認リスト掲載は別の主張です。[3] [4]
版下承認前に、見積書、TDS、SDS、ラベル、外箱、インボイスの商品名、規格表現、容量、輸入者情報を一致させ、ロット表示、保管サンプル、漏れ試験、キャップ検査、出荷前検査も取り決めます。
よくある調達ミス
- 色で選ぶ:赤や琥珀色は適合規格ではありません。
- 粘度だけを比べる:摩擦特性と機構適合も同じく重要です。
- マルチビークルを万能と解釈する:必ず除外用途があります。
- CVTとe-CVTを混同する:構造が完全に異なる場合があります。
- 全DCTを1油種で扱う:湿式/乾式、メカトロニクス、OEM番号が異なります。
- 根拠なしに承認表示を印刷する:性能適合と公式承認は同義ではありません。
B2B調達チェックリスト
- 主要変速機系列、年式、月間需要を整理する。
- AT、CVT、DCT、e-CVT、DHTを分ける。
- 各SKUの適合表と除外項目を入手する。
- TDS、SDS、承認主張の証拠を確認する。
- 販売国の表示言語、輸入者情報、輸送条件を確認する。
- 回転率に合わせて1L、4Lなどの容量を決める。
- サンプル、ロット、外箱、漏れ、出荷前検査を合意する。
- 未掲載型式では販売を止めて確認するよう教育する。
よくある質問
ATFをCVTに使用できますか。
対象CVTに対して車両メーカーが明示した場合だけです。通常のベルト/チェーン式CVTは専用CVTフルードを必要とします。
CVTフルードはハイブリッドe-CVTに使えますか。
自動的には使えません。正確なハイブリッドトランスアクスルと指定油を確認してください。
DCTフルードはMT油と同じですか。
同じではありません。DCTはギヤ、シンクロ、油圧、湿式クラッチを組み合わせるため、指定番号に従います。
マルチビークルATFは全OEM油を代替しますか。
しません。確認済み適合表の範囲でのみ在庫を簡素化できます。
「MB 236.17タイプ性能」はMercedes-Benz公式承認ですか。
いいえ。性能・適合の主張と公式承認は別で、承認には有効なOEM証拠が必要です。
輸入開始時に適した容量は何ですか。
チャネル需要で決めます。1Lは補充・小売、4Lは多くの整備作業に向きます。大容量は管理された分注と回転率が必要です。
見積書に必要な資料は何ですか。
最新版TDS、SDS、適合表、除外項目、ラベル案、包装仕様、承認・ライセンス主張の根拠です。
出典・参考資料
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対象市場の主要車両・変速機系列、希望容量、年間数量、プライベートラベル要件をお知らせください。用途の境界と必要資料を確認し、実務的な初期構成を検討します。
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